抽象的な思考を身近に変えるコツ「日常に例える力」で理解と納得を深める方法【Prompt.011】

prompt.011

ビジネスの会議やアイデアの議論で、ある瞬間ふと「なんとなく分かるけど…本当に理解したとは言えない」という“もやっ”とした感覚に出会うことはありませんか?

そうしたとき、抽象的な概念をただ繰り返し説明するだけでは、納得感にはなかなかつながりません。
むしろ効果的なのは、その難しい内容を身近な日常生活の出来事に例えることです。

今回ご紹介する問いは、そんな状況で活用できる思考の道具です。


目次

フェーズ1:認知・目的理解 × 技術3:立場転換

想定される状況

納得感を深めたい/アナロジーで整理したいとき

プロンプト

これを「日常生活の出来事」に例えるとしたら、どんな状況に近いですか?

期待される結果

抽象的な内容が身近な感覚に置き換わり、理解と納得が深まる。


なぜ「例える」ことが効果的なのか?

ビジネスで語られるアイデア、戦略、マーケティング概念、組織論。
どれも言葉は立派でも、聞き手の頭に“映像”として浮かんでこなければ、本質的な理解にはつながりません。

たとえば、「カスタマージャーニー」を「旅行の計画」に例えると、「目的地」「交通手段」「立ち寄りポイント」などがスッと頭に入ってくるように、抽象から具体への翻訳が起きるのです。

この翻訳力こそが、「納得できる理解」へのカギです。


具体⇄抽象の“往復”で思考は深まる

多くの人は、「例えること=説明を分かりやすくする技術」だと考えていますが、実はそれだけではありません。

例えることは、思考を一段深めるためのトレーニングでもあります。

なぜなら、例えを考えるには、まずその対象の「核となる構造」を理解していなければならないからです。
そしてその構造と似た体験を、日常の中から“検索”する必要があります。

その過程で、

  • 本質的に似ていること
  • 微妙に違う部分
  • 誤解されやすい落とし穴

などが見えてきて、自分自身の理解が整理されていくのです。


実際の使い方:アナロジーを用いた思考の整え方

1. 話が複雑になったとき

例:「このビジネスモデルは複雑すぎて説明が難しい…」

→「これは、レストランの仕組みに似ています。メニューがサービス、厨房がバックエンド、接客がUX、そして利益構造は食材と回転率の関係です」

このように例えることで、複雑だった仕組みが「見える化」され、理解が一気に進みます。


2. 新しい概念を浸透させたいとき

例:「この戦略は社内文化の刷新が必要です」

→「これは、家をリフォームするようなものです。家具や内装を変える前に、住んでいる人の暮らし方そのものを見直す必要があります」

聞き手が日常の経験として理解できるようになることで、腹落ち度が高まります。


3. チームメンバーの思考を揃えたいとき

アナロジーを使うことで、全員が「共通のイメージ」で話せるようになります。
これにより、意見のすれ違いや優先度の食い違いが減り、会話のテンポもよくなります。


ビジネスで使える例え表現のテンプレート

以下に、よく使われるアナロジーの型をご紹介します。

ビジネス概念日常の例え共通の構造
プロジェクト管理旅行の計画ゴール・マイルストーン・資源配分
組織改革家のリフォーム既存の構造を保ちつつ改善する
UX設計おもてなし相手の先回り・気配り
チームワーク合唱・バンド演奏個の役割+全体調和
顧客対応病院の診察状況把握・共感・処方・フォロー

このように、普段の生活の中にある経験にたとえることで、難しい話が「自分ごと」になります。


自分なりのアナロジーを磨くために

このプロンプトは、単に“例え話を使おう”という話ではなく、自分自身の理解度を深める思考トレーニングでもあります。

「これを、日常生活の出来事に例えるとしたら?」

という問いを、ひと呼吸置いて自分に投げかける。それだけで、以下のような力が養われます。

  • 概念をシンプルに構造化する力
  • 相手の視点に立つ力(共感力)
  • 抽象と具体を自在に行き来する力

特にチームの中で説明責任を持つ立場にある人や、プレゼンの多い方、教育・研修担当者には必須のスキルです。


まとめ:アナロジーは“伝える力”と“考える力”を育てる

今回ご紹介した問い、

「これを『日常生活の出来事』に例えるとしたら、どんな状況に近いですか?」

この一言を繰り返すだけで、あなたの思考はより具体的に、より伝わりやすく、そして何より「自分自身が納得できる」レベルへと引き上がっていきます。

抽象的なまま話すのではなく、“生活の中の感覚”に引き寄せることで、思考も、対話も、ずっと楽になります。

「なんとなく分かった」から「腑に落ちた」へ。
その一歩を、ぜひこの問いと一緒に踏み出してみてください。

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