あえて「やらないとどうなる?」を考える──実行しないことで見えてくる本質【Prompt.013】

prompt.013

アイデアを出したあとや計画を練っているとき、私たちは「実行すること」にばかり意識を向けがちです。
けれど、ひと呼吸おいて「もしこれを実行しなかったら、どんな未来が待っているのか?」と問いかけてみたことはあるでしょうか?

この問いは、行動の可否を判断するための逆張りの視点を与えてくれます。

一見ネガティブに見える「やらない」未来を仮定することで、むしろポジティブな判断の根拠や、自分たちが本当に恐れていること、優先すべきことが見えてくるのです。


目次

【フェーズ1:認知・目的理解 × 技術4:対比構造】

想定される状況

あえて逆の状況を考えたいとき

プロンプト

これを“実行しない”と決めた場合、どのような影響が考えられますか?

期待される結果

意思決定の盲点やリスクを客観的に捉え、判断の納得感が高まる。


目の前の行動に「やらない」という選択肢を加える意味

「意思決定」とは、やることを決めるだけではありません。
何を“やらないか”を明確にすることも、極めて重要です。

私たちの思考は、ある行動を取ることのメリットばかりに注目しがちです。
たとえば「新サービスを開始する」「会議を開く」「社内教育を強化する」などの施策は、実施した場合の利点ばかりが語られます。

しかし、仮に「実施しない」としたら?
そのときに発生するリスクや損失は何でしょうか?

たとえば、教育施策を行わなかった場合、社員のスキルが停滞し、業務効率や生産性が下がる可能性があります。

また、競合他社に後れを取るかもしれません。
こうした「やらない側の未来」を意識的に想像することで、行動の意味がより明確になります。


対比によって見える“盲点”と“本質”

このプロンプトの本質は、「対比構造」にあります。
実行するか、しないか。その両方の未来を対比することで、片方だけでは見落としていたポイントが浮かび上がります。

  • 実行すると得られるものは?
  • 実行しないと何が失われるか?
  • どちらの未来に、より重大なインパクトがあるか?

このように比べていくと、自分たちが何を重要視しているかが可視化されていきます。
たとえば、やらなかった未来を想像して「やっぱりこれは外せない」と強く感じたなら、それはあなたの“本当に大切にしている価値”を映し出しています。


実行しない選択を使った思考の実例

ケース1:営業戦略の再検討

ある中小企業では、新しい営業システムの導入を検討していましたが、費用対効果が読めず迷っていました。

このとき「導入しないと何が起きるか?」と問い直したところ、現状のアナログ体制では顧客対応が遅くなり、営業チャンスを逃していることに改めて気づきました。

つまり、やらない選択肢を意図的に描いたことで、「いま動かなければ」と腹落ちできたのです。


ケース2:採用活動の是非

スタートアップの経営者が「今期に新しいエンジニアを採用すべきか」悩んでいました。
人件費増による財務リスクが頭にあった一方で、「採用しないと今のエンジニアに負荷がかかり、離職率が高まる可能性がある」と逆側からの視点を加味することで、最終的に納得して採用に踏み切りました。


感情ではなく構造で判断するために

このプロンプトは、感情的な判断に流されそうになったときに、“冷静な比較フレーム”を与えてくれます。
人は得をする未来より、損を避ける未来の方に強く反応する傾向があります(損失回避バイアス)。

それを逆手にとり、「やらないと何を失うのか?」という問いを持ち込むことで、判断の裏づけや納得度が飛躍的に上がります


誤った前提に気づける“逆張りの視点”

また、やらない未来を想像することで、「そもそも今の前提や仮説は妥当か?」という問いにまで遡ることができます。

  • 本当にこれは“やるべきこと”なのか?
  • 誰のために、なぜ行おうとしているのか?
  • 今じゃなければいけない理由はあるのか?

こうした問いが出てくることで、より“本質的な意思決定”へとつながるのです。


まとめ:やらない未来が教えてくれる「納得の指針」

「あえてやらないと決めたら、どうなるか?」

この一言の問いには、自分たちが避けたい未来・本当に求める価値・見落としていた前提など、多くのヒントが詰まっています。

やるかやらないかで迷ったときこそ、このプロンプトを投げかけてください。
判断の精度が上がるだけでなく、「自分の中で本当に大切にしたいことは何か?」が自然と見えてきます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次