原因が複雑に絡んで見えないとき──「時系列で整理するとどうなるか?」で因果が見えてくる【Prompt.037】

prompt.037

「なぜこんな状況になっているのか、うまく説明できない……」
問題の全体像がつかめない。手を打ちたくても、どこから着手すべきか分からない。
そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?

特にトラブルや混乱の渦中にいるとき、原因と結果の順序が見えなくなり、思考がグルグルと堂々巡りしてしまうものです。
そんなときに役立つのが、因果関係をシンプルに“時間の流れ”で並べてみること。

この記事では、「①何が起きたのか → ②何が影響したのか → ③現在どうなっているのか?」という
シンプルな問いかけを使って、状況を言語化し判断をラクにするための方法を解説します。


目次

想定される状況

原因関係の流れを整理したいとき。
特に、出来事が多重に重なり「どこが原因で、どこが結果なのか」が見えづらくなっている状況。

会議や報告、または問題の分析の場で「説明がややこしくなる」「理解がバラバラになる」
と感じたときに効果を発揮します。


プロンプト

この状況を、①何が起きたのか→ ②何が影響したのか→ ③現在どうなっているのか、の順で整理するとどうなりますか?


期待される結果

物事の因果関係が可視化され、
状況の理解と打ち手の判断がしやすくなる。


思考の整理が止まるのは、「時間軸」が抜けているから

私たちの思考は、意外にも“時間の流れ”に弱い傾向があります。

たとえば──
・数日前のある出来事が、今の混乱の出発点だった
・人間関係の変化が、じわじわと業務の流れに影響していた
・小さなエラーが、後になって大きなトラブルに育っていた

こういった変化は、すべて「時系列」に沿って観察しないと見えてきません。

逆に、順番を明確にすると、

  • 原因が「いつから始まったのか」
  • どの影響が「本質的に強かったのか」
  • 今の状態に至るまでの「構造や法則」

が見えるようになり、混乱がスーッと整理されていきます。


なぜ「①→②→③」なのか?

この3ステップの並び方には、明確な意味があります。

①何が起きたのか

→ ファクト(事実)の確認。事実が曖昧だとすべてがブレる。

②何が影響したのか

→ 原因(要因)の分析。主観ではなく、構造をとらえる。

③現在どうなっているのか

→ 結果(状態)の認識。ここでのズレが「問題の正体」になる。

つまりこの順番をたどることで、

  • 事実ベースで全体像をとらえる
  • 感情や印象ではなく、構造と流れを理解する
  • 「いま起きていること」がなぜ問題かを定義できる

という3つの効果が得られます。


活用事例:このプロンプトが効いた場面

【ケース1】社内での施策が効果を出せなかったとき

  • ①新しい勤怠ルールを導入した
  • ②運用の周知が徹底されていなかった
  • ③部署ごとに打刻漏れが頻発している

→ 原因は“制度”ではなく“運用設計”の不備と分かり、対策がスムーズに。

【ケース2】クレームが増えた理由が分からないとき

  • ①1ヶ月前にサポート窓口の人員が半分になった
  • ②返信速度の低下が、問い合わせの不満を助長した
  • ③SNS上での評価が急落している

→ 「人員配置」ではなく「対応体験の質」が本質だったと気づけた。


「反論設計」への応用:逆から見ると、何が浮かび上がるか?

たとえば「現在こうなっているのは、結局○○のせいだ」と主張する人がいたとき。

このプロンプトを使えば、

  • 本当にその出来事が出発点だったのか?
  • 途中に別の変数や影響因子はなかったのか?
  • 結果の定義は正確か?

といった“見落とされた構造”に光を当てることができます。

つまりこれは、「反論を設計に活かす」思考法の一部でもあるのです。


再設計のヒントが「順番の入れ替え」にある

このプロンプトで因果関係が整理できたら、次のステップは「順番の入れ替え」です。

  • 本来②の対策が先にできていたら、③は避けられたか?
  • ①の出来事を未然に防ぐ視点があったとしたら?
  • ③の状態から逆算すると、次に打つべき一手は何か?

そうすることで、
「過去→現在」の受け身の構造が、「現在→未来」の能動的な戦略」へと変わります。


思考は“時間の地図”を描くことから始まる

問題が複雑に感じられるのは、情報の多さや関係性の入り組みではなく、
「何がいつ起きて、どうつながっているか」が見えなくなっているからです。

だからこそ、シンプルな問い──
「この状況を①→②→③の順で並べると?」
というだけで、頭の中に“思考の地図”が描かれていきます。

その地図があることで、行き詰まりから抜け出すルートが見えてくるのです。


最後に

対話でも、プレゼンでも、自己整理でも。
このプロンプトはあらゆるシーンで活用できます。

ぜひ一度、自分の抱えている問題や課題に当てはめてみてください。

  • 何が起きた?
  • 何が影響した?
  • 今どうなってる?

たった3つの問いが、状況の本質を言語化し、次の判断を可能にしてくれます。
それは単なる整理ではなく、未来への設計力の土台なのです。

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