話がこんがらがる原因は“順番”かもしれない──因果の流れを並べ直すだけで整理が進む【Prompt.040】

prompt.040

「何が原因で、何が結果なのか分からなくなってきた……」
複数の人が話していた内容をまとめようとしたり、議事録を書いたり、報告資料を作ったりしていると、こうした感覚に陥ることはよくあります。

でも、実はその混乱、**“話す順番が前後しているだけ”**かもしれません。
そんなときに試してほしいのが、今回のプロンプトです。


【フェーズ2:分解・課題抽出 × 技術5:言語化と評価】

想定される状況
情報の因果関係が乱れていると感じたとき

プロンプト
この混乱が、もし“話す順番が前後しているだけ”だとしたら、正しい順序は何でしょうか?

期待される結果
混乱の原因が整理不足にあることを見抜き、因果の正しい流れを再構築できる。


情報が多いと「順番」が壊れやすくなる

私たちは話を聞くときや資料を読むとき、「最初に出てきた情報=原因」や「後に出てきたもの=結果」と自然に思いがちです。
ですが、これは大きな誤解を生む要因でもあります。

たとえば…

  • 「Bさんの作業が遅れている」
  • 「チーム全体のアウトプットが低下している」
  • 「週明けの朝礼で叱責された」

この3つの情報を“時系列や因果の流れ”で並べ直さないと、
「誰が悪いのか」「何が問題なのか」がズレた理解になってしまうのです。


話す順番を整理するだけで、因果関係が浮き彫りになる

このプロンプトでは、「情報の順序を正しく並べる」ことに特化します。
つまり、次のような問いを立てます。

  • 何が最初に起きたのか?
  • それが何に影響を与えたのか?
  • 最終的にどうなったのか?

話の中で出てきた事象をカードのようにバラバラにして、一度“時間軸”に沿って並べてみる。
それだけで、今まで見えなかった構造がスッと見えることがあるのです。


ケーススタディ:順番を直すだけで、こう変わる

【例1】プロジェクトが失速した原因

最初の情報提供(乱れた順):

  • 社長が「緊急対策を取れ」と言った
  • 顧客の不満がSNSで炎上した
  • サポートチャットの自動返信が2日間止まっていた

整理し直すとこうなる:

  1. サポートチャットが止まっていた
  2. 顧客の不満が爆発しSNSに拡散
  3. 社長が緊急指示

→「社長の指示」が原因に見えたが、実は最終的な“結果への対処”だったと判明。


【例2】社員が退職した背景

乱れた話し順:

  • 退職理由は「キャリアアップ」だと言っていた
  • 半年前から上司と衝突があったらしい
  • 昨年の評価面談でモチベーションが落ちていた

正しい順序に並べると:

  1. 昨年の面談で不満を感じる
  2. 上司と衝突が頻発する
  3. モチベーションが下がり、退職を決意

→「キャリアアップ」は“表向きの理由”だったと分かる。


因果の再構築がもたらす3つの効果

  1. 議論の焦点がズレなくなる
     順序が合っていれば、議論は自然に正しい場所へ向かう。
  2. 対策が的を射る
     問題の“根”に届く施策が考えられるようになる。
  3. 関係者の認識がそろう
     「なぜこうなったか?」を一致した理解で共有できる。

「反論を設計に活かす」ための裏技として

もしあなたの提案や主張に対して
「でも、それって本当に原因?」
「結論ありきで話してない?」
といった反論が来たとき──

このプロンプトを使って、順序の正当性を示すことが有効です。

  • 自分が“どの順番”で説明しているか?
  • 相手は“どの順番”で理解しているか?

これをすり合わせるだけで、反論が“議論”に昇華しやすくなります。


最後に:順序の整理は、因果の整理

複雑な状況ほど、因果は絡まり、話の順序は前後します。
でも、根本の構造はたいてい「①何が起きた → ②どう影響した → ③どうなった」
このシンプルな流れの中にあります。

だからこそ、
「話す順番を整理したらどうなる?」
という問いを立ててみてください。

驚くほどに、混乱がほどけていきます。
それは、情報を“並べる”ことで、頭の中のマップが描かれるからです。
地図があれば、道に迷わない。──これは、思考にも同じことが言えるのです。

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