その問題、本当に「その名前」で合ってる?──名前を変えると“本質”が見えてくる【Prompt.041】

prompt.041

「この問題って、なんか違和感がある……」
「ずっと議論してるけど、うまくかみ合わない」
そんなときは、そもそも**“問題の名前”そのものがズレている**可能性があります。

名前がズレていれば、認識も、打ち手も、すべてがズレる。
そこで力を発揮するのが、今回紹介するプロンプトです。


【フェーズ3:提起・仮説構築 × 技術1:具体⇄抽象】


想定される状況
問題の定義を柔軟に捉え直したいとき

プロンプト
この問題に、あえて“別の名前”をつけるとしたら何が良いでしょうか?

期待される結果
既存の枠組みを外し、新たな視点や切り口から本質を再定義できる。


問題の“名づけ”が、すべてを決めている

たとえばこんなことはありませんか?

  • 「納期遅れ」が問題だと思っていたが、実は「進行管理が属人的」だった
  • 「離職率の高さ」が課題だと思っていたが、根っこは「組織文化の不透明さ」だった
  • 「売上が伸びない」ではなく「顧客の期待が変わったこと」に気づくべきだった

こうした“思い込み”の原因の多くは、問題に付けた名前がミスリードしていることにあります。


「別の名前をつける」とはどういうことか?

これは単なる言い換えではありません。
“名づけ直す”という行為は、問題を別の角度から捉えることそのものです。

たとえば──

  • 「情報共有がうまくいかない」→「感情の行き違い」
  • 「在庫管理の混乱」→「ルールと例外のあいまいさ」
  • 「顧客クレームが多い」→「期待と現実のギャップ」

こう名づけるだけで、対策の方向性がガラッと変わってくるのが分かります。


活用例:このプロンプトが効いたシーン

【ケース1】プロジェクト進行の遅れ

最初の定義:「スケジュール遅延」
→ これだと「工数の問題」として扱われていた。

名づけ直し:「見積もり精度の錯覚」
→ 初期の設計段階の過信が原因だと気づく。
→ 対策が「人手増強」から「見積もりプロセス改善」に変わった。


【ケース2】新人の早期離職

最初の定義:「ミスマッチ採用」
→ 面接や適性診断の精度を高めようとした。

名づけ直し:「期待ギャップの設計ミス」
→ 入社後のギャップを減らす“オンボーディング設計”が鍵と発見。
→ 改善策が“選ぶ”から“迎える”視点に転換。


なぜ「名前を変える」と本質が見えるのか?

1. 認知の枠組みが変わる

名前は“思考の入り口”です。同じ対象でも名前が変われば、認識が変わる。

2. 感情的バイアスが外れる

ネガティブな名前(例:「失敗」)をポジティブに(例:「試作段階の学び」)にすることで、行動が前向きに変わる。

3. 対象が抽象化・再構造化される

具体的な事象を“別の文脈”でラベリングすることで、背後の構造が浮かび上がる。


「反論を設計に活かす」視点での応用

自分の主張に対して、こう言われたことはありませんか?

  • 「それって問題なの?」
  • 「別にそんなに重要じゃないでしょ?」
  • 「もっと本質的な話をしようよ」

このとき、もしかすると相手は**“問題の名前”に違和感を持っている**のかもしれません。

そんなときにこのプロンプトを使い、「じゃあ、あえて別の名前をつけるとしたら?」と問う。
すると、相手と一緒により本質的な問題定義を再構築する対話が生まれるのです。


最後に:「名前を変えること」は、視点を変えること

名づけとは、ラベルではなく“意味づけ”です。
だからこそ、定義された名前を一度“解きほぐす”ことは、問題解決のはじまりでもあります。

もし、議論が空回りしているなら。
もし、打ち手がしっくりこないなら。
その問題に、あえて“別の名前”をつけてみてください。

たったそれだけで、
あなたの思考は固定された枠組みを抜け出し、
新たな視点から“本当の課題”と向き合えるようになるはずです。

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