対立から共通点を見出す:合意形成に効く「共有の問い」とは?【Prompt.070】

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会議の場で話がまとまらない。
上司と部下、営業と開発、A社とB社──立場や意見の違いから、議論が平行線のまま終わってしまうことはありませんか?

「お互いの言いたいことはわかるけど、どこで折り合えばいいのかわからない」。
そんなモヤモヤを抱えたときに、強力な突破口になるのが、「共通して重要な点はどこか?」という問いです。

今回は、対立から抜け出し、合意形成に向かうための“問いの設計”について掘り下げます。


【プロンプト情報】

【フェーズ4:設計・戦略策定 × 技術3:立場転換】

想定される状況:
合意形成のための共通項を抽出したいとき

プロンプト:
関係者全員がある程度納得するためには、これら3者の間で共通して重要となる点はどこでしょうか?

期待される結果:
対立しがちな利害の中から共通の価値や優先点を見出し、合意形成の糸口をつかめる。


1. 背景の解像度

現代のチームやプロジェクトは、立場の異なるメンバーで構成されていることがほとんどです。
たとえば…

  • 営業部:「早く売上を出したい」
  • 開発部:「品質が最優先」
  • 経営層:「コストを抑えて効率化したい」

このように、同じ会社にいながら“求めるゴール”が少しずつズレています。
また、社外との連携でも、利害関係が食い違うのは当然のこと。

このズレをそのまま放置すると、

  • 会議が何時間経っても決まらない
  • 納得感のない合意に終わる
  • 後から「あれは無理矢理だった」と不満が残る

といった“合意疲れ”が起きてしまいます。

しかし、実はこうした対立構造にも“共通点”が必ずあるのです。
その共通点を見出すには、「誰かの立場を勝たせる」のではなく、「3者に共通して重要なことは何か?」と問い直すことが必要です。


2. プロンプトの構造理解

このプロンプトの特徴は、“立場を超えて”共通項を抽出する視点を提供する点です。

具体的には次のような思考を促します:

  • Aさん、Bさん、Cさんの主張にはそれぞれ背景がある。
  • それぞれの利害を調整するのではなく、“みんなが本当に重視していること”を一段抽象化して考える。
  • 結果として、対立ではなく「価値の共通点」や「目的の一致」を見つけられる。

この問いは、議論の“土俵”を変える効果があります。
つまり、「言い合いの場」から「一緒に目的を探す場」へと、雰囲気と構造の両方を転換できるのです。


3. 活用シーン・事例(2つ)

事例1:部署間の連携トラブル

Before:
新製品のリリースに向けたスケジュールで、営業と開発が衝突。
営業「この日までに絶対出したい」
開発「それでは品質が確保できない」

プロンプトを使って考えると…
「営業・開発・経営の3者にとって共通して重要な点は何か?」
→ 「お客様の信頼を失わないこと」「競合より先に市場に出すこと」

After:
そこで「β版を出して、正式版は少し後ろ倒しにする」案が浮上。
スピードと品質のバランスがとれ、納得感のある合意が形成された。


事例2:地域住民と行政の対話

Before:
公共施設の建設に関して、行政・高齢者・子育て世代の意見が真っ向から対立。
行政「予算内で作りたい」
高齢者「静かな環境がほしい」
子育て世代「遊び場が必要」

プロンプトを使って考えると…
「この3者に共通して重要なことは?」
→ 「安全な空間」「地域のつながり」「将来世代への価値提供」

After:
公園と集会スペースを併設し、騒音対策も行う案が採用される。
全体の価値が見えることで、納得の合意が実現。


4. 応用・再設計の可能性

このプロンプトは、次のような応用が可能です。

● メンバー数が多い会議に対応

「3者」ではなく、「関係者すべてに共通する価値は何か?」と問いを広げる。

● 利害が真っ向から衝突している場面

「何を削ってでも守りたい価値はどこか?」という“コア価値”の抽出にも使える。

● ファシリテーションにも使える

合意を急がず、「全員にとって意味のある“問い”を立てる」ことが、ファシリテーターの役割になります。


5. 最後に(締め)

誰かの意見を押し通すのではなく、立場の違いを超えて「共通する大事なこと」に目を向ける。

このシンプルな問い──
「この3者に共通して重要な点は何か?」

は、議論を前に進め、合意形成に導く強力なツールになります。

もし今、チームや関係者との話し合いがうまくいかないなら、視点を“上に引き上げて”、問いのレベルを変えてみてください。

共通項が見えた瞬間、会話は驚くほど前向きに変わるはずです。

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